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RESEARCH FILE 001LONGEVITY / 越冬研究計画中

室内で越冬させ、スイカを多年草のように育てられるのか

草は、長く生きることで木のような強さを身につけることがある。ならば一年草のスイカにも、冬の先に続く成長があるのではないか。

THIS RESEARCH STARTED WITH A QUESTION園長の問い

室内で低温から守り、木質化した組織を育てながら越冬させれば、スイカを一年で終わらせず、多年草のように育てられるのではないか。

多年草として生きるスイカの近縁種、凍結による細胞の損傷、草本植物の木質化を手がかりに、スイカ苗を翌年へつなぐ可能性を考える。

01

スイカは一年草である

スイカは一年草である。夏に実を作り、冬には枯れてしまう。

しかしアフリカには、多年草として生きるスイカの近縁種がいる。栽培スイカそのものは一年草でも、スイカ属には一年を超えて生きる仕組みが存在している。

02

なぜ植物は寒さで死ぬのか

植物の体内で水が凍ると、氷そのものや、氷に水分を奪われることで細胞が傷つく。特に細胞膜が壊れると、暖かくなっても元には戻れない。

日本の冬にある極端な低温を室内管理で避けられれば、本来は冬に失われる株を、その先まで生かせる可能性が出てくる。

03

木質化は、植物に強い体を与える

植物によって寒さへの耐性が違う理由の一つが、木質化である。

木質化した細胞壁は植物の体を硬く強くし、水の通り方や組織の壊れにくさを変える。木はこの木質化した組織を毎年積み重ね、年輪を作っていく。

もちろん耐寒性は木質化だけで決まるものではない。しかし、植物が長く生きるための『強い体』を作るうえで、木質化は無視できない変化である。

04

草は、木のような強さを身につけることがある

木本植物は年輪を作り、草本植物は作らない。それが基本のように思われているが、現実はもう少し複雑である。

草本植物でも、長く育てることで茎や根元が硬くなり、木のような組織を作ることがある。これを木質化という。

最初は柔らかく、簡単に折れそうだった草が、年月を重ねることで太く、硬く、簡単には倒れない体へ変わっていく。園芸をしている人には見慣れた現象だが、草が木のようになっていくことを知らない人は多い。

05

草の年齢を調べる研究まである

多年生の草本植物では、木質化した根や茎の組織に残る成長の痕跡から、年齢や過去の生育を調べることができる。

植物学には、それを研究する『草本年代学』という分野まで存在する。草はただ柔らかいまま生えて枯れるだけの存在ではない。時間を体に刻み、年齢を重ねる草もいるのである。

06

身近な例はミントである

最初は柔らかく、爽やかな香りを放つ可愛い草だが、何年も育てると根元は硬く、木のようになっていく。若い頃の姿とは、ほとんど別の植物である。

そうなったミントは香りもなく、ただの雑草になる。しかし、その姿は草本植物が年月を重ね、簡単には倒れない強い体へ変わった証拠でもある。

07

スイカ苗多年草化計画の始まり

つまり、スイカ苗を手厚く保護して冬を越えさせれば、スイカも生命体として強くなれる可能性がある。

一年目に作った根と木質化した基部を残し、翌年を種からではなく、すでに育った体から始める。そこで何が起きるのかを確かめたい。

UNSOLVED

まだ分からないこと

  • 果実を作った後の株が、室内越冬へ回せるだけの体力を残せるか
  • 冬の光量で、根と地上部をどこまで維持できるか
  • 木質化した基部が、翌年の再成長や耐寒性にどこまで寄与するか
  • 病害虫を持ち越さず、長期間の室内管理を続けられるか
  • 翌年も開花・着果できるのか、それとも株が衰えるのか
TO BE CONTINUED

この研究は、まだ終わっていない。

これがスイカ苗多年草化計画の始まりだった。

スイカ幼稚園では、園児たちを一年で卒園させない。目標は、冬を越えて時間を重ねる究極生命体である。